国内音楽権利者のための配信支援ソリューション

FLAGGLE

配信現場の課題に向き合い生まれた新しいソリューション

2025.09.16
2025.09.16

〜『Music Ally Japan グローバル・デジタルサミット2025』レポート【後編】〜

目次

2025年6月、東京・WITH HARAJUKU HALLで開催された『Music Ally Japan グローバル・デジタルサミット2025』。
会場では『日本のライツホルダーに寄り添った配信オペレーションとディストリビューションとは』をテーマに、ポニーキャニオンの川崎義博氏(クリエイティブ進行部/部長)とレコチョクの相田一成氏(ソリューション事業部/統括部長)によるトークセッションも行われ、多くの聴衆が耳を傾けた。

本記事では、当日の対談内容を【前編】【後編】の二部構成でお届けしている。
先日公開した【前編】では、音楽配信の歴史をたどりながら、現場が抱えるリアルな課題、そして新たな配信支援ソリューション【FLAGGLE(フラグル)】誕生までの背景をお伝えした。

いよいよ【後編】では、川崎氏と相田氏の言葉を通してFLAGGLEの全貌に迫るとともに、音楽配信のこれからを読み解いていく。

配信支援ソリューション【FLAGGLE(フラグル)】の始動

2020年代に入り、音楽配信はますます多様化している。
それにともない、旧譜を含む楽曲の管理が複雑になったり、メタデータの整備が追いつかなかったり、人手不足といった現場の課題も、次第にはっきりしてきた。
そうした状況を受けて、ポニーキャニオンとレコチョクが取り組んだのは、目の前の課題を一つひとつ見直し、丁寧に対応していくこと。
その積み重ねから生まれたのが、新しい配信支援ソリューションFLAGGLEである。

国際基準のシステムを導入

FLAGGLEは、ライツホルダーと長く現場でやり取りしてきたレコチョクだからこそ実現した仕組みだ。その土台には、米国AudioSalad社のシステムが使われている。

相田:「データベースの部分とハイブリッドディストリビューションの部分は、AudioSaladさんにお願いしています。お預かりした楽曲アセットをAudioSaladのシステムで管理し、そこから全世界のDSPに配信するという形です」

AudioSalad社は、ニューヨークに拠点を置く配信プラットフォーム兼ディストリビューター。
世界65カ国以上に楽曲を届けるネットワークを持ち、SpotifyやApple Musicなど主要DSPからプリファードパートナーに認定されている。

相田:「プラットフォームもディストリビューションもクオリティが高く、スムーズな対応が可能です。そこが採用の大きな理由のひとつでした」

ポニーキャニオンからも、AudioSalad社の実力は高く評価されていた。

川崎:「弊社も3年ほど前にAudioSaladと接触を始めまして。彼らの持つ、優れた機能や対応力をキャッチアップして、“これだったらいいね”と。レコチョクさんがそのAudioSaladのシステムを導入されたと聞いて、迷わずFLAGGLEを選びました」

レコチョクの国内での運用経験と、AudioSalad社の配信システムを組み合わせたのがFLAGGLEだ。
二人の話から、どんなことができて、どんなふうに使いやすいのかが見えてきた。

FLAGGLEがかなえる3つのソリューション

FLAGGLEは、配信やメタデータの管理だけでなく、ライツホルダーが現場で抱える課題に向き合うために作られた。大きな特長は、ハイブリッドディストリビューション、DDEXに対応したメタデータ基盤、そして現場への“伴走型支援”を行う「FLAGGLEアシスト」である。

多様な契約形態に対応する配信モデル ハイブリッドディストリビューション―

日本国内で事業展開しているグローバルDSP、海外でサービスをしている現地のローカルDSPを問わず、直接契約はできても、各DSPの複雑な楽曲アセットの納品方法に国内のライツホルダーが個別に対応するには限界がある。

そのため、配信を可能にするには、納品代行/ディストリビューションのサポートが欠かせない場面も少なくない。
FLAGGLEには、それぞれのライツホルダーのニーズに対応できる仕組みが用意されている。

ライツホルダーが直接契約しているDSPへは納品代行を利用し、未契約のローカルDSPなどにはFLAGGLEのディストリビューション業務を利用できる「ハイブリッド」方式だ。

相田:「ポニーキャニオンさんのようにDSPと直接契約している場合、自社でそのDSPとの運用をお続けになりたいと思いますので、我々は納品代行という形で作業します。でも、どうしても配信契約ができないような海外のローカルDSPさんにはディストリビューションを使っていただく。このハイブリッドなやり方を提案しています」

さらに、細かなテリトリーの設定にも対応している。

川崎:「たとえば、アメリカとヨーロッパの一部をレーベルに渡して、残りの国をこちらで配信する──そういう配信手配が必要になることがある。国コードを百数十カ国指定して除外したり、グループ単位で管理できるという点も非常に魅力的です」

相田:「実際の運用でも“この国だけ外したい”とか“この地域だけ任せたい”というご要望は多くあります。FLAGGLEでは、その細かい指定をシステム上で柔軟に反映できるので、ライツホルダーの皆さまにとっても安心して任せられる仕組みになっています」

世界のリスナーに届くメタデータ基盤 ―DDEXデータベース

FLAGGLEでは、DDEXベースのデータベースで、配信に必要なメタデータをひとまとめにして管理できる。
川崎氏の話を聞いていると、それがどれだけ大事なことかが伝わってきた。

川崎:「弊社が管理する『進撃の巨人』関連の楽曲。コアファンなら、その主題歌『紅蓮の弓矢』のタイトルを当然知っていますので、SpotifyとかApple Musicで『紅蓮の弓矢』というタイトルで検索します。ですから、コアファンには届くんですけれども、ライトユーザーは楽曲のタイトルとかアーティストの名前とかを覚えているわけではありません。例えば、アメリカの環境で『進撃の巨人』の英語タイトル“Attack on Titan“で検索したとします。当然、弊社の提供しているタイアップ楽曲やサントラが“Attack on Titan”というタイトルで引っかかります。しかし、検索結果の下の方では、オルゴールのカバーとか、他社アーティストのカバー楽曲とか、関係ない曲も検索に上がってくる状況です」

相田:「おっしゃる通りで、メタデータが不足していると、本来届けたい曲がリスナーに届かない。FLAGGLEでは “正しい曲が正しい形で検索に引っかかる”よう、そうした情報の管理が可能です」

川崎:「アニソンの場合、キャラクターがアーティスト名として登録されると、そのキャラクターを演じている声優さんの名前をきっちりと関連付けて納品しないと、ユーザーには届きません。今後、DSPの皆さんはもちろん、DDEXにもこの日本独自の構造を伝え、国際標準への反映も進めていきたいです」

相田:「DDEXベースで管理していくので、来年3月にはサポートが終わるバージョン3からの自動アップデートにも対応しています。今後、アセットの整備が遅れているライツホルダーの皆さまにも活用いただける仕組みになると思っています」

日本の音楽コンテンツは、データや管理のルールが海外と異なる。
FLAGGLEは、そうした違いをカバーしながら、配信の手間を減らし、作品をより多くのリスナーに届けていくための基盤として機能している。

制作・宣伝に集中できる環境をつくる FLAGGLEアシスト

そして、FLAGGLEならではの特長が「FLAGGLEアシスト」。
入力やクレンジングといった細かい作業から、マーケティングやDSP対応まで、現場を幅広くサポートする。

相田:「我々がご提供するのは、日々の入力や管理作業、コンサル的な部分に至るまで、ライツホルダーさんに寄り添った“伴走型”の支援。人手不足やシステム投資が難しいというお悩みも多い中で、本業である制作や宣伝に集中していただけるよう、我々がその下支えをします」

川崎:「TikTokやYouTubeショートなど、リリース前からの仕込みが必要な時代。タイミングを見計らった施策に乗せるための戦略も必要ですし、空間オーディオやモーションピクチャー対応など、DSPごとの施策にも対応しなければいけない。我々のオペレーションチームがその支援に入ることで、A&Rがクリエイティブな部分に集中できる環境づくりを後押ししていきます」

相田:「FLAGGLEは、ツールというより、現場で一緒に働くパートナーのような存在だと思っています。配信まわりのサポートを通じて、ライツホルダーのチャレンジをもっと自由に、もっと柔軟にしていける。そんな“寄り添う”スタンスこそが、FLAGGLEの根幹を支えているんです」

FLAGGLEが変えていく、音楽配信のこれから

FLAGGLEの登場によって、音楽配信の現場には少しずつ変化が生まれている。
そうした流れの中で、川崎氏と相田氏は、これからの配信ビジネスのかたちや、自分たちの役割について語った。

データを資産として活用し利益の最大化へ

川崎:「今回のFLAGGLE採用にあたり、AudioSaladへのデータ投入を進めています。2021年からDDEX100%準拠のメタデータを整備し、古い楽曲の膨大なデータを準備してきました。これにより、世界標準の形式でAudioSaladに楽曲情報を連携できるようになります。今後は、このデータを“新たなアセット”としてどう運用し、利益最大化へつなげるかが私たちの挑戦です。まずはデータの整備が完了し、すでにどのサービスにも即時展開できる体制が整ってきました。ここから、戦略的に展開していく段階に入ります。活用先の開拓、スタッフの教育を通じて、最大限の成果を目指していきます」

“寄り添う支援”で国内ライツホルダーと世界をつなぐ

相田:「まさに先ほど、弊社の営業担当とも『これが始まりだよね』と話していたところです。レコチョクはこの25年間、日本市場で“音楽IT”の旗を掲げ、業界とともに歩んできました。これまでは、国内の“DSP・レコチョク”という側面が強く印象にあるかと思いますが、私たちは今、国内にとどまらないグローバル展開へと舵を切りつつあります。そして、そのきっかけとなるのが、まさにFLAGGLEです。FLAGGLEは、日本のライツホルダーの皆さまと世界をつなぐ、次世代の音楽配信ソリューションであり、日本一、いや世界一、国内のライツホルダーに寄り添った仕組みだと自負しています。今後も、“寄り添う支援”を軸に、ライツホルダーの皆さまにとって真に頼れる存在であり続けたいと考えています」

ポニーキャニオンとレコチョクによる取り組みを通じて、FLAGGLEの全体像が見えてきた。
このソリューションは、配信業務の負担を減らしながら、音楽ビジネスの可能性を広げていくことにもつながっている。

リソース不足や業務の煩雑さに悩むライツホルダーにとって、導入を検討する価値はありそうだ。

FLAGGLE(フラグル)とは

レコチョクがお届けする国内音楽権利者のための配信支援ソリューションです。配信サービスの多様化や海外対応で複雑化する音楽配信業務の最適化を、「戦略的な配信ルート選択」「国際規格対応のメタデータ管理」「プロによる業務代行」によって支援します。
FLAGGLE(フラグル)とは

FLAGGLE(フラグル)とは

レコチョクがお届けする国内音楽権利者のための配信支援ソリューションです。配信サービスの多様化や海外対応で複雑化する音楽配信業務の最適化を、「戦略的な配信ルート選択」「国際規格対応のメタデータ管理」「プロによる業務代行」によって支援します。

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